VCOの使い方をマスターしよう!




<項目>POSシリーズについて

 VCOとは、Voltage Controlled Oscillator の略で、電圧制御発振器です。
私は、数100MHz〜数GHz帯のVCOには、秋月電子通商のPOSシリーズ(ミニサーキット社製)をよく使います。

VCOの写真
VCOの写真(右側の部品)
<注:左側はDBM>

ここで扱うVCOですが、DBMの局部発振器として使うためには、DBMの使い方でも説明したように+3dBm以上の出力がほしいところです。POSシリーズの出力は、TYP+8.5dBm〜+10dBmの範囲であるため、DBMとの相性は最適です。表1に、秋月電子通商のVCOモジュールについて示します。周波数帯域別に5種類があります。
 本スペアナでは、UPコンバーター用に(3)POS−535DOWNコンバーター用に(4)POS−1025を使います。
表中で黄色になっているところは、他のモジュールと違う点です。(5)POS−2000では、電源電圧が8V仕様になっていますので、注意してください。また(4)POS−1025は、他より値段が少し高めになっています。


表1. 秋月電子通商のVCOモジュールについて
種類 周波数帯域
[MHz]
出力[dBm] 電源電圧
[V]
チューニング
電圧[V]
値段
(1)POS−50   25〜50 +8.5 12 1〜16 2.500円
(2)POS−200  100〜200 +10 12 1〜16 2,500円
(3)POS−535  300〜535 +8.8 12 1〜16 2,500円
(4)POS−1025  685〜1025 +9 12 1〜16 2,800円
(5)POS−2000 1370〜2000 +10 1〜20 2,500円




<項目>VCOのチューニング電圧について

 本スペアナに使用する(3)POS−535、及び(4)POS−1025について、チューニング電圧に対する出力周波数特性の実測データを図2,図3に示します。まずチューニング電圧ですが、ここでは0V〜約19Vまでを調べています。POS−535,POS−1025では、推奨チューニング電圧範囲として、1V〜16Vとされておりますが、0V〜約19Vまで電圧範囲を広げても、十分安定に動作出来ることを確認しています。
一般に、VCOのチューニングには、図1に示すように可変容量ダイオード(バリキャップ)が使われています。従って、電圧の上限は、バリキャップの耐圧で決まり、逆に下限はダイオードが順方向になる電圧で決まります。
POSシリーズの規格で確認すると、チューニング電圧の絶対最大定格電圧は、20Vと明記されています。したがって、20V以内を守って使ってさえいれば、まず壊れる心配はありません。実際に、POS−535のチューニング電圧を19.2V,600MHzで、PLL回路に組み込んでSG(シグナル・ジェネレータ)として使用しておりますが、十分安定に動作しております。
逆に下限ですが、理論上0V以下(実際−0.1Vあたり)でも動作します。ただし、バリキャップが順方向にバイアスされるため、本来の使い方ではありません。正電源で駆動しますので、わざわざ、負の領域を使うことはないでしょう。

VCOチューニング部の概略構成図
図1.VCOチューニング部の概略構成図


 秋月電子のスペアナ・アダプタ・キットでは、POS−535が使われていると思います。お手元にPOSシリーズのVCOがありましたら、図2,図3のようにチューニング電圧に対する出力周波数特性を測定してみてください。
1GHz程度まで測定できる周波数カウンタ、+12VのDC電源、0V〜+20Vまで可変できるDC電源、それにチューニング電圧を測定できるマルチメータ(テスター)が必要です。その他に、電源配線、VCOの出力と周波数カウンタまでを接続する50Ω系同軸ケーブルを用意してください(1.5D−2Vなどの細めのケーブルがあると扱いやすい)。
さらに、これはVCOを使うときのノウハウにもなりますが、チューニング電圧端子には、1MΩ程度の保護抵抗を必ず付けておいてください。これを付けておけば、絶対最大定格20Vを万一越えた場合、VCO内のバリキャップの破壊を防ぐことができます。
チューニング電圧端子には、微少ながらリーク電流が流れているかしれませんが、バリキャップはコンデンサとして働いているので、通常ほとんど電流は流れません。したがって、保護抵抗を入れたことによる電圧降下の影響は全くありません。(チューニング端子自身にも内部回路に保護用抵抗が入っていると思います。)
もしここで、大きな電圧が保護抵抗を介してVCOに印加されたとしましょう。するとVCO内のバリキャップがブレークダウンを起こし、大電流が流れ込もうとします。しかし、このとき保護抵抗にも電流が流れるため、保護抵抗による電圧降下で、VCOにはそれ以上の電圧はかからないようになります。
このように、バリキャップが万一ブレ−クダウンしたとしても、電流が制限されているため、破壊には至りません。この原理を積極的に応用しているのが、定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)です。
絶対最大定格20V付近では、より慎重な心構えで望んでいただきたいのですが、まず越えても壊れることはありませんので、安心して測定してみてください。故意に電圧を高く上げていくことはお勧めいたしませんが、私が測定に使用したPOS−535では、21Vを越えたあたりでブレークダウンが確認されました。

POS−535特性
図2.POS−535 チューニング電圧に対する出力周波数特性

POS−1025特性
図3.POS−1025 チューニング電圧に対する出力周波数特性




<項目>VCOのピン配置図

POSシリーズ VCOピン配置図
図4.POSシリーズ VCOのピン配置図

図4に、POSシリーズ VCOのピン配置図を示します。
(BOTTOM VIEWの右下が1ピン,左上が8ピン)

  1ピン: VCCポート(ピンの根本の青色が目印)
  2ピン: RF OUTポート
  3ピン: GNDポート
  4ピン: GNDポート
  5ピン: GNDポート
  6ピン: GNDポート
  7ピン: GNDポート
  8ピン: V−TUNEポート




<項目>VCOの周波数測定

図5にVCO周波数測定の回路接続例を示します。同じ部品であっても、チューニング電圧に対する周波数特性には、バラつきがあることが分かっています。バラつきの幅は、電圧値によっても違いますが、10MHzぐらいはあるようです。私が調べた範囲内では、POS−535で600MHzが出ないものが、まれにありました。従って、プリント基板に実装する前に、予め測定データをとるようにしてください。
でも、600MHzが出ないといってガッカリしないでください。掃引電圧の方で対応するようにします。

用意する部品、及び測定器は、

  1. POSシリーズVCO(POS−535,POS−1025)
  2. 周波数カウンタ(1GHz程度まで測れるもの)
  3. ディジタル・マルチ・メータ(テスター)
  4. 12V,DC電源(電流容量は10mA以上あればよい)
  5. 20V以上で、できれば可変のDC電源
  6. 50Ω系同軸ケーブル(1.5D−2Vなどの細めが扱いやすい)
  7. 1MΩ(チューニング電圧端子の保護用抵抗)
  8. 10kΩ可変抵抗(電圧微調整用で、できれば多回転ボリュームがよい)
  9. 0.1μFセラミック・コンデンサ(なるべく付けた方が望ましい)
  10. 100μF電解コンデンサ、35V耐圧(なるべく付けた方が望ましい)
  11. Ra、Rb(分圧用抵抗で、可変抵抗の微調整をしやすい抵抗値)
VCO周波数測定・回路接続例
図5.VCOの周波数測定・回路接続例


 周波数カウンタから、50Ω系同軸ケーブルで、なるべく2ピンに短く接続します。GNDはその隣の4ピンに接続します。1ピンのVCC端子には、0.1μFセラミック・コンデンサを、3ピンのGND端子間に接続します。
0.1μFというコンデンサは、なくてもVCOの動作には何ら差し支えありませんが、電源ケーブルからのノイズや、VCO出力信号の混入を低減させる意味で、付けた方が望ましいでしょう。また、1000pF程度のセラミック・コンデンサを、さらに並列に入れておくと最も効果的ですが、ここは簡易的な測定ですので、そこまでは必要ないでしょう。
特に電源から素子までの電源配線が比較的長い場合には、12Vの電源配線間に100μF程度の電解コンデンサを入れておくと、リップルが低減され、より安定な電圧を提供できるようになります。
チューニング電圧は、8ピンと隣のGNDの7ピン間に印加しますが、先程述べたように1MΩ程度の保護抵抗を必ず接続してください。電源は20V以上の電圧が出せて、できれば可変することができれば望ましいのですが、無くても10kΩの可変抵抗と、適切な分圧抵抗を直列に接続して、電圧の微調整ができるようにします。
可変抵抗と保護抵抗間の配線は、インピーダンスが高くてノイズの影響を受けやすいので、0.1μF程度のセラミックコンデンサを並列に接続します。1MΩと8ピン間、0.1μFと7ピン間は短く接続してください。
チューニング電圧を正確に測定する必要のため、ディジタル・マルチ・メータは、8ピンと7ピン間に接続します。
なお、VCOと各配線と接続ですが、データを取ったあとでプリント基板に実装することも考えて、軽く半田付けするようにしてください。



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